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知る

蝦夷山桜(天塩町)

春はあけぼの。春の朝は氷点下になることも多いです。日中は暖かく、草花が芽吹く季節になります。

 天塩町の春は雪融けから始まります。天塩川は解氷を迎え、大きな氷の船が川下へと流れていきます。また本州からシベリアへ渡るために天塩川沿線の三日月湖である振老沼には白鳥やオオヒシクイの群が飛来し、自然のままの力強い姿を楽しむことができます。この時期は氷点下になることや雪が降ることも多く、まだまだ寒い日が続きます。

 雪融けが終われば本格的な春の到来となります。湿地では水芭蕉が咲き、山では行者ニンニク、海では鰊や桜鱒などが多く水揚げされるようになります。幻の淡水魚と呼ばれる『イトウ』は産卵期を迎え、真っ赤な婚姻色に染まります。桜の開花は5月の半ばと全国で最も遅く、耐寒性の強い『蝦夷山桜(大山桜)』が開花します。

天塩川の解氷
天塩川(夏)

​夏

夏は夜。夜空を見上げれば満天の星空が望めます。限られた短い夏を謳歌するように草花が咲き誇ります。

 天塩町の夏の訪れを告げるのは『はまなす』の開花と『シジミ漁』の始まりです。天塩町の町花である、『はまなす』は鏡沼海浜公園で見られます。6月〜8月頃に濃いピンク色の花(まれに白い花)を付け、8月〜10月には赤い果実が生ります。根は染料に、花はお茶に、果実はローズヒップやジャムと利用方法が多く、アイヌの頃から『マウニ』と呼ばれ親しまれてきました。シジミ漁は6月に解禁され、8月末まで続きます。天塩町のシジミは非常に長い年月をかけて大きく育ち、江戸時代には『蝦夷の三絶』として厚岸の牡蠣や十勝川の鮒と共に道外に誇るべき食べ物として珍重されました。今でも漁獲量こそ多くはないものの質の高いシジミが採れるため天塩町の貴重な特産品となっており、毎年7月には『しじみ祭』が開催されています。

 他にもエゾカンゾウ(禅庭花)やエゾスズラン、コウホネなど短い夏の間に多くの草花が咲き誇ります。

しじみ(特大)
利尻富士(振老旧川から)

秋は夕暮れ。利尻富士に沈む夕日を眺めることができます。また越冬のため、雁や白鳥が飛来します。

​ 天塩町の秋は鮭の遡上と共に始まります。9月頃から鮭は遡上を始め、天塩港には多くの鮭が連日水揚げされるようになります。この時期に水揚げされる鮭は秋鮭と呼ばれ、荒巻鮭やいくらに加工されます。また越冬の為に本州へと渡る、白鳥や雁の群れが飛来し、振老沼の周辺では雁のV字編隊飛行や白鳥が水に浮かぶ姿などを観察することが出来ます。秋が深まり、11月を過ぎるとニシンやアンコウといった魚が水揚げされるようになり、11月の半ば以降にはちらほらと初雪も見られるようになります。これから来る厳しい季節への備えを行い、長い冬へと移ろいで行きます。

サケ水揚げ
こもれびの森(冬).JPG

​冬はつとめて。早朝は『けあらし』が起こることも。白銀の世界となり、雪景色を楽しむことが出来ます。

 天塩町の冬は厳しい寒さと日本海側故の強風によるホワイトアウトなど極寒の世界となります。気温は最高でも氷点下の日々が続き、ホワイトアウトによる道路通行止めなど厳しい環境になります。

 11月の終わり頃に初雪を迎え、12月の半ばには根雪となり、一面白銀の世界となります。

この時期から羽を広げると2mを超えるオオワシやオジロワシが見られるようになります。また天塩川は結氷し、春まで解けることはありません。草花は雪の下に埋もれ春を待つことになります。1月になると気温はさらに下がり最低気温は25度近くまで下がります。雪の量も本格的になっていき、早朝の除雪車の音で目がさめるようになります。年に数回ある強風によるホワイトアウトが起こると主要な道路は閉鎖され、1m先が見えなくなるなど生活が大きく制限されます。このような時期が2月の末頃まで続き、次第に春へと移ろいでいきます。

除雪.JPG
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